○中国企業税制入門
第八回:企業所得税−その3
今回は外資企業に対する企業所得税の優遇措置について説明します。優遇措置には各種のものがありますが、ここでは税率、税額の減免のうち主なものについてみていきたいと思います。
1.税率
基本税率は国税部分が30%、地方税部分が3%の計33%ですが、国税部分は地域・業種により15%若しくは24%の低減税率が適用され、また地方税部分は各地方政府が独自に規定し免税としている地域もあります。
以下は、国税部分で低減税率が適用される代表例です。
|
税率 |
対象地域・業種 |
|
15% |
・経済特区(深セン、珠海、汕頭、厦門、海南経済特区)に設立された外商投資企業及び外国企業 ・経済技術開発区(一定の沿海都市内)に設立された生産型外商投資企業 ・上海浦東新区に設立された生産型外商投資企業 ・沿海経済開放区及び経済特区、経済技術開発区内の旧市街区の生産型外商投資企業で、技術集約、知識集約型であるものなど。 ・ハイテク産業開発区に設立されハイテク企業に認定された外商投資企業 |
|
24% |
・沿海経済開発区及び経済特区、経済技術開発区内の旧市街区の生産型外商投資企業(税率15%が適用されるものを除く) |
2.税額の減免
いわゆるタックスホリデー(減免税期間)で “2免3減”や“1免2減”などがありますが、ここでは対象となる企業の多い“2免3減”を取り上げます。
@対象企業:経営期間が10年以上の生産型外商投資企業
A減免内容:利益が生じた年度から2年間は免税、その後3年間は税率を半分にするというものです。このときの利益が生じた年度とは、それまでの年度の税務上の損失が失くなり(欠損金の繰越控除期間は5年間です)初めて課税所得が生じた年度のことをいいます。
B留意点:一旦適用されると途中で損失を出しても止めることはできません。例えば2年目に損失が出たとしても、最初の2年間の免税期間は消化したことになります。
C例:
<ケース1>
|
年度 |
初年度 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
6年目 |
7年目 |
|
所得額 |
△150 |
70 |
90 |
△20 |
50 |
60 |
70 |
この場合、3年目に初めて課税所得10が発生するため、3年目から“2免3減”を適用することになります。4年目は“2免”の対象年度ですが△20の所得額のため免税の効果はなく、5年目から7年目が“3減”の対象年度となります。(5年目の課税所得は50−20=30)
<ケース2>
|
年度 |
初年度 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
6年目 |
7年目 |
|
所得額 |
10 |
△30 |
△20 |
20 |
30 |
50 |
70 |
この場合、初年度に所得が発生しているため、初年度から“2免3減”を適用することになります。しかしその後2,3年目の損失補填後所得が発生するのは6年目であり、“2免3減”の期間は過ぎているため、“2免3減”の恩恵は殆ど受けられないことになります。
初年度は、通常開業費の発生があり、会計上開業費は開業年度に全て費用に計上するため初年度は会計上欠損になる場合がありますが、税務上開業費は5年以上の期間で償却(費用化)をするため、税務上は所得が発生し、“2免3減”が開始するというケースも考えられます。
ただし、初年度の実際の生産経営期間が6ヶ月に満たない場合、初年度に所得が発生した際には、その所得に対して企業所得税を納税し、次年度から“2免3減”の適用を受けることも申請により可能です。
D“2免3減”後:輸出型企業(当年度の輸出製品生産高が企業の製品生産高の70%以上)の場合、“2免3減”の期間終了後も“半減”が適用されます。但し、経済特区の企業など15%の税率が適用されている場合には半減でなく10%の税率が適用されます。
Eその他:“2免3減”の適用を受けるためには税務局の承認が必要です。