○中国企業税制入門
第四回:増値税−その3
前回は一般納税人である生産型企業が輸出取引を行った場合の仕入増値税額の還付について説明しましたが、今回は増値税還付の問題点、その他増値税全般の留意点について説明したいと思います。
1.増値税還付の問題点
現在、増値税の還付に関して次のようなことが問題としてあげられます。
(1)還付税率が輸出貨物の種類ごとに0-17%の間で決められており、17%未満の場合は仕入時に17%の仕入増値税を支払ったのにもかかわらず還付される仕入増値税は17%よりも低い金額となり差額部分は企業のコストとなることです。また、この還付率はこれまで政策上度々変更されています。
(2)還付税額の計算において、まず不還付となる税額である控除不能仕入税額を求めますが、この計算において使用する価格は輸出貨物にかかる仕入価格でなく輸出FOB価格となっています。本来であれば輸出貨物にかかる原材料等の仕入価格を計算の基礎とすべきですが、売上価格である輸出FOB価格を計算の基礎としているため、実質的に付加価値部分も不還付の対象となっています。
(3)還付の申請から実際の還付までに数ヶ月から1年以上かかる地域、ケースがあります。
還付手続上、企業は外貨収入額、脱税問題を起こしていないか等によりA類からD類に分類され、A、B分類は手続きが簡略化していますが、C分類、D分類となるに従い厳格な審査を受けることになりそれだけ還付までに時間がかかります。
2.その他増値税の留意点
(1)販売とみなされる行為
物品の販売とみなされ増値税の課税対象となる行為がいくつか規定されていますが、特に特徴のあるものとして、「2ヶ所以上の機構を有し統一して会計を行っている納税人が一方の機構から他の機構に販売用物品を移送すること(当該他の機構が同一市、県内にある場合を除く)」というものがあります。これは例えば、自社製品を他の省にある販売拠点に移送する場合などですが、別の規定により当該販売拠点が“発票”を販売先に発行せず、かつ代金を受領しない場合には、移送にかかる増値税の納税義務は発生しません。
(2)混合販売行為
混合販売行為とは、設備の販売と据付サービスを1取引として行うなど、1つの販売行為が増値税の課税対象となる物品の販売等と営業税の課税対象となる役務の提供等の双方に係わる行為をいいます。この場合、物品の生産、卸売、小売を行う企業の混合販売行為は物品の販売とみなされ増値税が課税されます。その他の企業の混合販売行為は営業税が課税されます。
(3)兼営
複数の事業を行っている企業が、増値税の課税対象となる事業と営業税の課税対象となる事業を行っている場合には、それぞれの売上額を明確に区分しなければならず、区分していない、或いは正確に計算できない場合には一律に増値税が課税されます。
(4)非正常損失にかかる仕入増値税額の非控除
前々回において、固定資産購入にかかる仕入増値税額は控除できないことを述べましたが、これ以外に生産過程において発生する正常な損耗以外の著しい品質低下、過度に発生した不良品などは非正常損失として売上増値税額から控除することはできません。