○中国企業税制入門

第二回:増値税−その1

 

 今回は、増値税について説明します。増値税は中国の税収構成の中で最も割合が高く、また中国進出企業においても基本税率が17%(穀物など対象項目によっては13%)と高いため非常に重要な税目といえます。

1.課税対象

課税対象は、国内における物品の販売又は加工、修理等の役務の提供及び物品の輸入取引です。

2.納税義務者

一般納税人と小規模納税人に区分されます。小規模納税人か否かの判定は、主として製品の生産或いは役務を提供する納税人は年間の課税売上額が100万人民元以下の場合で、物品の卸売或いは小売を行う納税人(商業企業)は年間の課税売上額が180万人民元以下の場合となります。

3.一般納税人と小規模納税人の主な違い

(1)税額の計算方法

@一般納税人:売上時の預かり税額(税率17%)−仕入時の支払税額(税率17%)

A小規模納税人:課税売上高×徴収税率(生産・役務提供企業は6%、商業企業は4%)

@、Aを比べますと、@の一般納税人は売上時の預かり税額(売上増値税額)から仕入時の支払税額(仕入増値税額)が控除できるのに対して、Aの小規模納税人は売上高に対する税率が低く一見有利に見えますが、仕入増値税額が控除できないため、仕入増値税額17%は原価の一部となり粗利率が低下します(図表「税額計算例」参照)。

(2)増値税専用発票

一般納税人は増値税専用発票(以下「発票」)を発行することができますが、小規模納税人は原則できません。(税務局による発票の代理発行制度を利用すれば可能です。)

4.納税期限

 納税期限は納税額に基づき税務機関により決定されますが、1日、3日、5日、10日、15日或いは1ヶ月毎の納税期間があり、納税期間が1ヶ月の場合の納税期限は納税期間満了後10日以内となり、その他の期間の場合は納税期間満了後5日以内に仮納付を行い、翌月10日以内に申告納付します。

5.日本の消費税との相違点

日本の消費税と大きく異なる点は、(a)固定資産購入にかかる仕入増値税額が控除できないことと、(b)仕入増値税額は発票記載の税額を控除する(つまり発票を取得、保管していないと控除できない)ことです。


 

【図表】税額計算例

国内売上高10,000元(税抜き)、仕入高8,000元(発票記載の増値税額1,360元)、税率17%(小規模納税人の徴収税率4%)とした場合の一般納税人と小規模納税人とでの納付税額と損益について比較してみます。なお、小規模納税人が発票の代理発行制度を利用しない場合、販売先は発票を取得できず仕入税額控除ができないため、税込の販売額を10,000元(税引きでの売上高10,000÷(1+4%))とするよう値引きの要請があることが考えられます(Bのケース)。

 

@一般納税人の場合

A小規模納税人の場合

B増値税分値引き販売した場合

売上高

10,000

10,000

9,615

仕入高

8,000

2)9,360

9360

粗利益(率)

2,000(20%)

640(6.4%)

255(2.7%)

納付税額*1)

340

400

384.62

1)@10,000元×17%(=1,700元)−1,360元=340元

A10,000元×4%=400元

B9,615.38元×4%=384.62元

2) 8,000元+発票記載の増値税額1,360元=9,360元

 

以上